器質性月経困難症と低用量ピル

月経困難症とは月経時に腹痛や腰痛の強い状態の病名です。器質性月経困難症とは子宮内膜症や子宮筋腫があり、それが月経困難症の原因となっている場合の病名です。子宮内膜症とは子宮内膜が卵巣内や子宮筋層内に胎生期から迷入し、月経時に内出血を起こすことにより卵巣内や子宮筋層内に貯留する血液が痛みの原因となる状態です。器質的月経困難症には効果的な薬剤投入が保険適応として認められています。使うお薬は、一つは経口避妊薬の低用量ピルと同じ薬効のお薬です。排卵を止めます。排卵を止めることにより月経時の出血量がすくなくなります。痛みの原因である月経時の出血を少なくすることにより月経困難症の症状も少なくなります。月経開始後21日間投薬し、1週間休薬します。休薬している間に出血があります。低用量ピルと同じですから、一番の副作用は不妊です。妊娠を希望される場合は投薬を中止します。妊娠をすると月経困難症はなくなりますから、なるべく早く妊娠するように指導します。40歳を超えると脳梗塞や心筋梗塞の頻度が増えます。低用量ピルは梗塞性疾患の頻度を増やすことも知られていますから、40台以降は慎重投与が必要です。50台は禁忌です。40台、遅くとも45歳以降は投与するお薬をかえます。この場合は閉経期と同じホルモン環境にするお薬を使います。閉経期と同じホルモン環境にするので人によっては更年期症状と同じ症状が出ることがあります。この両方のお薬を使うことにより器質的月経困難症はコントロールすることができます。どちらのお薬も3か月に1回効果、副作用等の説明を行うことが求められています。説明を行ったときは婦人科特定疾患治療管理料と呼ばれる保険点数が加算されます。